ペットの知恵袋

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やっぱり賢い!甘く見てはいけない犬の学習能力

うちの犬は散歩に行く時間にはリードを自分で運んで玄関で待っているとか、食事の時間には定位置にやってくるといった飼い主の話を耳にします。TVやインターネットでも賢い犬のエピソードはよく紹介されており、犬の賢さを表す話は枚挙に暇がありません。

しかし、これは必ずしも親ばかのような飼い主のひいき目ではありません。事実として犬はとても賢い生き物なのです。ここでは、そんな犬の賢さと、学習能力が高いゆえの犬のトラブルについて解説します。この記事を参考に、犬の賢さ・学習能力との関わり方について考えてみましょう。

1.犬の賢さを示すエピソード

犬の賢さ・知性について、いくつかの例を取り上げて考えてみましょう。例えば、犬が指差しのジェスチャーを理解すること。犬に対して「あそこに行け」と声や指で命令すると走っていく、というのは狩猟犬をはじめ日常でもよくみられる光景ですが、実はこのジェスチャーを理解するということは動物の行動として非常に珍しいものです。人間以外の動物ではチンパンジーやゴリラといった知能の高い霊長類にはこの理解力がありますが、霊長類以外では犬だけがこうした理解力とコミュニケーション能力を持っていると言われています。

単純な行動を学習するという点でも犬の能力は優れています。毎朝犬が新聞を取ってくるという話はおなじみの利口な犬のエピソードですし、勝手にドアを開けて部屋に入ってくるといった話もよく聞きます。教えたこともないドアの開け方を飼い主の行動や実物の動きから学習するのです。

また、古くから牧羊犬や狩猟犬などの作業犬として犬が人間と共同作業・共同生活を営んできたことも、犬の賢さ・学習能力の高さの証拠といえます。訓練を受ければ学習し、人の指示を理解して行動できることから、犬の知能と学習能力の高さがよくわかります。

犬は記憶能力も優れているといくつかの研究が示しています。学術雑誌「Science」やTV番組で取り上げられた天才犬「リコ」「ベッツィ」は200種類ものおもちゃの名前を記憶し、それぞれを表す単語を判別するだけでなく、単語と実物を結びつけて覚えることができました。「チェイサー」という別の天才犬は1,022もの単語を記憶しているという記事もあります。こうした例でなくとも、普通の飼い犬ですら飼い主が散歩に行くときの準備の手順を覚えていたり、褒められる行動を記憶して繰り返したりします。

これらのことが示すように、犬の知能は非常に高度です。一説によれば犬は人間の2~3歳児程度の知能を持っているとも言われます。

2.犬の賢さの理由

ではなぜこれほど、犬は賢くなったのでしょうか。それには、人間と共存し共同生活を営んできた歴史が大きな役割を果たしたと言われています。犬は有史時代よりもさらに昔から人間と共存し、パートナー・家畜として飼育されてきました。現在でも狩猟犬や牧羊犬といった形でその歴史をみることができます。

この歴史から犬はより人間と共存することに適応し、あるいは人間によって品種改良を施されて、今のような知能を手にしたのです。また、この人間に対する依存度の高い環境は、飼い主の行動や感情の表れを感じ取り、それに応じた反応を示すことができるという犬特有の能力をもたらしました。

これが犬が賢く、そして人間にとって良いパートナーであることの理由といえます。

3.賢さがもたらすストレスとトラブル

しかし、この高い能力はメリットだけをもたらすものではありません。飼い主と犬の関わり方によっては、双方に大きな悪影響を与えてしまうものでもあります。

上で述べたように、犬の学習能力は非常に高度です。この学習能力は褒められたこと、嬉しかったことをよく記憶するだけでなく、叱られたことや辛かったことをよく覚えているということでもあります。人間と同じように、辛い記憶はそれ自体がストレスになるだけでなく、恐怖という形でその後の行動や感情に影響を与えます。

例えば、犬が教えたとおりの場所にトイレをできなかった場合です。このとき、飼い主が叱りつけてしまうと犬はこの体験を怖いもの・避けたいものとして記憶します。すると、犬はトイレをすること自体を「よくないこと」「怒られること」として避けるようになるということが起きてしまうのです。結果として犬は飼い主に隠れてトイレをしたり、おもらしをしたりするようになります。これはしつけの失敗です。

もう一つの例として挙げられるのが、飼い主が厳しくしつけをした結果、犬がとても萎縮したり、かえって攻撃的になるケースです。大声を出して叱ったり、叩いたりしてしつけることは、飼い主を犬にとって威圧的な怖いものとして認識させることにつながります。常に飼い主に恐怖し、おどおどと顔色を窺う状態は犬にとって大変なストレスです。また、別の反応として自分の身を守るために攻撃的になることもあります。攻撃的な反応は叱った飼い主だけでなく周囲の人間に向かうこともあり、吠え声の騒音や噛み付く、ひっかくといったトラブルの元になります。

4.犬の賢さとうまく付き合っていくには

こうした犬の高い知能からくるトラブルを防ぐ最良の方法は、犬の賢さを信頼することです。

犬の学習能力と理解力はこれまで紹介した通りすばらしいもので、行動を褒められたならそれを覚えることができますし、叱るときにも大声を出したり叩いたりする必要はありません。犬を支配するのではなく、信頼関係を築いていくという姿勢があれば、犬は褒められた・うれしかった経験から自然に学習していくことができます。人と同じく、楽しいコミュニケーションの経験を与えることがお互いの関係をより良いものにしていくのです。

犬のしつけは思い通りにゆかず苛立つことも多い作業ですが、それを乗り越えて確固たる信頼関係を築くことができれば、犬は人間の最良のパートナーとなり得るでしょう。

さいごに

ここまで、犬の賢さとそれを活かした犬との付き合い方について解説してきました。多くのエピソードが示すように、犬はとても賢い生き物です。飼い主が信頼を置けば必ずそれに応えることのできる良きパートナーを大切にし、よりよい関係を築きましょう。